自立支援介護とは、介護を必要とする高齢者の方々に対し、身体機能の維持・向上を図り、精神的にも自律した生活を送れるよう支援する介護スタイルです。従来の介護は、日常生活における介助が中心でしたが、自立支援介護では、高齢者ご本人が「できること」を増やし、可能な限り自立した生活を送れるよう、機能の維持・向上を目標とします。自立支援介護は、主に水分、食事、運動、排泄という4つのケアに分類できます。

まず水分ケアでは、高齢者の方の脱水予防を重視し、1日の水分摂取量を1500ml程度を目安として推奨します。お声かけを通じて、食事の際や入浴後など、こまめな水分補給を促します。水分の種類は水が基本ですが、お茶や薄めのジュース、カフェインの少ないお茶なども選択肢となります。

次に食事ケアでは、高齢者の方の低栄養を防ぎ、健康を維持するために、1日に必要なエネルギー量（目安として1500キロカロリー）を摂取できるようサポートします。加齢とともに柔らかいものを好む傾向がありますが、咀嚼（そしゃく）は嚥下機能の維持・向上だけでなく、脳の活性化にも繋がります。食事形態を工夫しながら、噛むことを意識した食事を提供することも重要です。

運動ケアでは、高齢者の方の筋力低下や関節可動域の制限を防ぎ、転倒予防や生活機能の維持・向上を目指し、1日に2キロメートル程度の歩行を目標とします。距離はあくまで目安であり、個々の体力や状況に合わせて調整します。日常生活の中で無理なく歩く習慣を身につけることが大切で、散歩や買い物など、楽しみながら運動できる工夫を取り入れます。

最後に排泄ケアでは、高齢者の方の排泄機能を維持し、便秘や排泄に伴うトラブルを予防することを目標とします。水分摂取、食事、運動といった上記のケア目標を実践することで、自然な排便を促し、便秘傾向の軽減を目指します。また、定期的にトイレへ誘導し、排泄リズムを整えることも重要です。